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千葉地方裁判所 昭和58年(わ)372号 判決

本店所在地

千葉県木更津市木更津三丁目三番三号

有限会社千石商事

(右代表者代表取締役内藤常吉)

本籍

神奈川県川崎市川崎区堀之内町五番地一四

住居

同区本町一丁目一〇番地一七

会社役員(特殊浴場経営)

内藤常吉

大正七年五月一二日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官高橋邦郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社千石商事を罰金一三〇〇万円に、被告人内藤常吉を懲役一年に処する。

被告人内藤常吉に対し、本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用はその二分の一ずつを被告人両名の平等負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社千石商事(以下「被告会社」という。)は、千葉県木更津市木更津三丁目三番三号に本店を置き、特殊浴場の経営を目的とする資本金五七万七〇〇〇円の有限会社であり、被告人内藤常吉(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五四年四月一日から同五五年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得額が七三五四万三〇九二円あったのにかかわらず、同五五年五月三〇日、同市富士見二丁目七番一八号所在の所轄木更津税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一六九二万二五六三円で、これに対する法人税額が五八五万八五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二八五〇万六九〇〇円と右申告税額との差額二二六四万八四〇〇円を免れ、

第二  昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五〇五〇万九四七五円あったのにかかわらず、同五六年五月三〇日、前記木更津税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一五五万六八一七円で、これに対する法人税額が三七三万三八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一九三一万五〇〇〇円と右申告額との差額一五五八万一二〇〇円を免れ、

第三  昭和五六年四月一日から同五七年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二八四〇万一一〇八円あったのにかかわらず、同五七年五月三一日、前記木更津税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六一九万八九一三円で、これに対する法人税額が一八四万〇九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一〇九五万円と右申告税額との差額九一〇万九一〇〇円を免れた。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告会社代表者兼被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官作成の被告人に対する各質問てん末書

判示冒頭の事実につき

一  千葉法務局木更津支局登記官作成の昭和五八年二月一八日付商業登記簿謄本

判示第一ないし第三の各事実ことに過少申告の事実及び別紙(一)ないし(三)修正損益計算書の公表金額につき

一  押収してある確定申告書三袋(昭和五八年押第一四六号の二ないし四)

判示第一ないし第三の各事実ことに右各損益計算書の当期増減金額欄記載の内容につき

一  押収してある売上メモ一袋(同押号の一、別紙(一)ないし(三)修正損益計算書の勘定科目中、〈1〉、〈15〉、〈29〉につき、以下別紙番号と勘定科目欄の番号のみを記載する。)

一  大蔵事務官作成(以下同じ。)の売上高調査書((一)ないし(三)〈1〉)

一  貴金属売買調査書((一)〈2〉)

一  貴金属調査書((一)〈2〉)

一  役員報酬調査書((二)及び(三)〈3〉)

一  給料調査書((一)ないし(三)〈4〉)

一  雑給調査書((一)ないし(三)〈5〉)

一  保健厚生費調査書((一)ないし(三)〈6〉)

一  租税公課調査書((一)ないし(三)〈14〉)

一  旅費交通費調査書((一)ないし(三)〈15〉)

一  雑費調査書((一)ないし(三)〈25〉)

一  調査費調査書((一)ないし(三)〈28〉)

一  受取利息調査書((一)ないし(三)〈30〉及び別紙(五))

一  銀行預金調査書((一)ないし(三)〈30〉及び別紙(五))

一  雑損失調査書((一)ないし(三)〈35〉)

一  事業税認定損調査書((一)ないし(三)〈38〉及び別紙(六))

(弁護人の主張に対する判断)

(一)  貴金属売買益の帰属について

弁護人は、貴金属売買益六四八万円につき、被告人の妻内藤明子が個人として購入した貴金属の取引によるものであって同人に帰属する旨主張し、その理由として、明子は以前被告人らが飲食店を経営していたころに客からもらったチップ等を貯金しこれを被告人に預けておいた分があり、昭和四九年に三回にわたって金を購入した際の資金の一部をこれにあてており、またその余の資金については、購入の際被告会社から明子に対し賞与として支給されたものであり、したがって、取引差益を生じた金はいずれも明子個人の資金により購入したもので、その所得が帰属するのは被告会社ではなく明子個人である旨主張する。

まず、大蔵事務官作成の飯山皓司に対する質問てん末書によれば、昭和四九年七月の金二キログラム及び同年一一月の金三キログラムの代金として支払われた現金はゴムバンドで束ねられ、輪ゴムか針金のさびの跡のようなものが付き、湿気を帯び多少かびくさいものであったことを認めることができるが、そのことが弁護人の主張するようにこれらの現金が被告会社の開業時である昭和四六年一二月以前から金庫内に保管され続けていたことを直ちに示すものということはできないのであり、被告人の住居の構造、金庫の設置場所その他の条件いかんによっては、それ以後に保管された現金が昭和四九年夏ごろまでに右のような状態になることは十分あり得ることである。そして、もし被告人が三越からの金の購入時に特に妻明子のために保管していた現金を使用しているのであれば、その事実を想起して取調時に理由を付してその旨供述し得たはずであるのに、被告会社の売上除外金をあてた旨供述していることは理解に苦しむといわざるを得ない。また、三越からの二回にわたる購入は、昭和四九年七月の際は二キログラム、代金三〇〇万円で、同年一一月の際は三キログラム、代金六〇〇万円でされていることが、貴金属売買益調査書により認められるが、九〇〇万円にものぼる妻個人の大金を、預金等もせず右のような状態で保管したまま放置していたことについての首肯し得る理由を見出し難いのであり、かえって、このような大金が相当期間放置されていたのは、被告会社の売上除外金であったため、預金等をするについては慎重にならざるを得なかったことによるものと推認されるのである。そのうえ、証人内藤明子の証言するところは、チップ等として得たものを被告人に預けた金額については不明であるが貴金属を買える程度はあったとか、購入資金の一部には自分の金も入っていると思うとか、自分の資金で購入したのは一〇グラム程度の少量の金についてである旨供述するなど、甚だあいまいなまた一部矛盾する内容のものであり、被告人自身も保管している金額等につき同様あいまいな供述を繰り返していることからしても、右のような湿気を帯びかび臭い現金であるからといって、これらが明子に属するものであったとは到底認めることができない。被告人は、被告会社の簿外の現金についてはゼムクリップで留め、妻の現金はゴムバンドで留めて区別して金庫内に保管していた旨述べるが、裏付となる証拠もなく、またゼムクリップで留めることができる枚数にも限度があり、はずれやすいと思われることなどの点に照らし、措信できない。

また、前記貴金属調査書によれば、本件売買益を生じた金の購入については、右二回の購入に続いて同年一二月に六〇〇万円で購入した分をも合わせ含むものであるが、半年以内の短期間に合計八キログラムもの大量の金を合計一五〇〇万円にものぼる代金で購入したこと自体被告会社の売上除外金の資金運用手段として行われたことを推認させるものである。被告人は、差額は妻明子に対するボーナスとして支給した旨供述するが、妻がただ金を購入したいというだけで多額の賞与を支給するというのは、合理性に欠け、到底措信できない。また、妻明子が、金の売買につき相手方と直接交渉にあたり、売却に際しては妻の知人や親類の者の名義を用い、これらの者を同行し、その保険証を身元証明として使用するなどしている事実があるが、明子は被告会社の営業に従事しているものであり、また、自己の知人、親類の助力を得たからといって、売却の便宜上そのようにしたにすぎないと解すべきものであるから、右認定を左右する事情とはならない。

最後に、被告人が右のような主張及び供述をするに至ったのは公判段階に入ってからであり、それまでは金の購入資金は被告会社の売上除外金をあてたもので、その差益は被告会社の所得となる旨供述していたのであり、被告人に対する質問てん末書の他の項目の供述記載及び質問状況に関する証人菱田次男の当公判廷における供述に照らせば、右主張が真実であるにもかかわらずその旨の供述をすることを困難ならしめるような事情は何ら見出し得ないのである。

以上によれば、右三回にわたる金の購入は被告会社の売上除外金の資金運用の手段として行われたものであって、その売買差益は被告会社に帰属する所得と認めるに十分である。

(二)  タクシー運転手等に対する支払手数料額について

弁護人は、本件起訴にかかる期間を通じて、被告会社としては、常連客やタクシー運転手が初めての客を紹介した場合には、その手数料として一回当り三〇〇〇円、一か月当り六〇回、月額合計一八万円を支払っており、したがって年間合計額二一六万円を各年度の支払手数料として控除すべきであるのに、昭和五五年三月期は一五万一〇〇〇円、同五六年三月期は三二万円、同五七年三月期は三九万六〇〇〇円にとどまっているので、さらにその差額を各年度の経費として控除すべきであると主張する。

証人内藤明子及び被告人の当公判廷における各供述はおおむね右主張に沿う内容のものであり、証人鷲沢茂男の当公判廷における供述中にもこれに沿う部分があるが、物的証拠等の裏付けを欠くうえに、被告人の供述によれば一日四〇人位の客のある場合に五、六名はタクシー運転手が連れて来る初めての客であるというが、タクシー運転手にトルコ風呂の選択を委ねる客の比率がこのような高率にのぼるとは到底考え難く、鷲沢証人も結局のところタクシー運転手の紹介にかかる新客は客全体の中ではわずかにとどまる旨証言を変更するに至っていることに照らしても、これを措信できず、他方、押収してある売上メモ(昭和五八年押第一四六号の一)によれば、一日ごとの売上額が二軒の店舗別に記載され、そのメモの趣旨、形式に照らし売上額につき正確に記載されていることが認められるところ、タクシーとして記載された金額が一〇〇〇円またはその倍数(稀に五〇〇円の端数を含む)で記載されている事実及びタクシー運転手に対する紹介手数料を記載した旨の被告人の当公判廷における供述によれば、それに記載された金額は、売上額が正確なものと認められることに対比しても、同様に正確な額を記載したことに疑いをさし挾む余地がないものと認められ、右メモにより認められる金額をタクシー運転手に対する紹介手数料として支払ったものとして所得計算をしたことにつき、誤りはないと認められる(なお、新しい客を紹介した常連客に対しても手数料を支払っていた旨の主張に沿う証拠はない)。したがって、弁護人の右主張も採用できない。

(三)  簿外預金等の受取利息に係る租税公課(利子税)の損金算入漏れ及び損金算入時期について

弁護人は、昭和五七年三月末までに元利金の払戻しを受けていない簿外の定期預金につき、一方で満期が到来した利息分を受取利息として益金に計上しながら、他方でそれに対応する二〇パーセントの源泉徴収される利子税に相当する金額を租税公課として損金に計上していないのは不当であり、これを当該年度の租税公課の額に加算することにより損金として計上すべき旨主張し、その加算すべき金額につき、昭和五五年三月期八三二〇円、同五六年三月期一四万四四八八円、同五七年三月期七八万八六一三円であると主張する。

ところで、簿外預金の性質からしても、架空名義の預金等については源泉分離課税が選択されているのが通常であり、受取利息調査書、租税公課調査書によれば、本件でも三五パーセントの源泉分離課税の方式で利子税が徴収されていることが認められるのであり、また、本調査書が採用しているように満期時に支払われるべき受取利息をその年度に計上し、満期後の利息は払戻し(解約)の時点で一括して計上する取扱いをしているなどの本件の事情の下では、簿外の預金等の受取利息に対する源泉徴収にかかる利子税については、法人税法六八条の税額控除の要件には欠けるものであるが、税額控除が受けられる場合には利子税納付の時点の年度で控除されることになると解されること、及び法人が受取利息のうち現実に利得として把握し得る部分は常にそれに対応して源泉徴収されることになる利子税を差し引いたものに限られることなどに照らして考察すれば、収益費用対応の原則にかんがみ、利子税に相当する額を租税公課として当該年度における損金に計上するのが相当であると解される。

しかるに、受取利息調査書によれば、本件ではそのような計算方法がとられておらず、元利金の払戻しを受けた時点(解約時)において、前年度までに益金として計上された受取利息の分をも含めたものに対する利子税額を一括して租税公課として計上する方法がとられていることが認められるのであって、このような方法により法人所得の算定を行っていることは正当でないというべきであるから、その限りでは弁護人の主張は理由がある。しかし、他方、前年度までに満期が到来しその時点で受取利息を計上している分で、当該年度に至り払戻しがされている定期預金については、払戻しを受けた年度においては、逆に満期時(前年度以前)に発生した受取利息に対応する利子税額をも含め一括して損金計上がされていることになるのであるから、満期時を含む年度に計上すべき利子税額については、これを払戻しを受けた当該年度の損金計上分から差し引いて計算しなければならないことになる。

そこで受取利息を計上した年度において、これに対応する利子税額をその年度の租税公課として損金に計上することとして、別紙(五)記載の方法により計算し直すと、簿外の預金等についての受取利息に対応する利子税額は、同別紙記載のとおりとなる。この金額をもとに各年度の租税公課の勘定科目欄の金額を別紙(一)ないし(三)のとおり補正し、また、法人所得の変動に伴う翌年度の事業税認定損の勘定科目の金額の補正につき、同調査書に採用されている正当と認められる計算方法に従い別紙(六)のとおり算定し、その他本件において採用されている正当と認められる方法により順次各年度の法人所得額及び法人税額の算定を別紙(一)ないし(四)のとおり行い、判示罪となるべき事実の認定に至ったものである。

(法令の適用)

一  罰条

(一)  被告会社につき

判示第一の所為 昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項

判示第二及び第三の各所為

いずれも右改正後の法人税法一六四条一項、一五九条一項

(二)  被告人につき

判示第一の所為 行為時において右改正前の法人税法一五九条一項、裁判時において右改正後の同法一五九条一項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。)

判示第二、第三の各所為

いずれも右改正後の法人税法一五九条一項

二  刑種の選択

被告人につき いずれも懲役刑のみを科する。

三  併合罪加重

(一)  被告会社につき 刑法四五条前段、四八条二項

(二)  被告人につき 同法四五条前段、四七条本文、一〇条(刑期、犯情とも最も重い判示第二の罪の刑に加重)

四  刑の執行猶予

被告人につき 刑法二五条一項

五  訴訟費用の負担

被告会社及び被告人につき

いずれも刑訴法一八一条一項本文

(量刑の事情)

本件は、特殊浴場を営む被告会社において、三事業年度にわたり合計四七〇〇万余円にのぼる法人税をほ脱した事案であって、正規の税額に対するほ脱の割合を見ると、各事業年度とも約八〇パーセントの高率に達しているのであり、そのほ脱額と合わせ考えても悪質な犯行というほかはない。ただ、被告人が、難病におかされた娘の将来を案じて、地味な暮らしを続けながら蓄財を心がけていることは十分理解できるけれども、そのような事情が本件行為をいささかも正当化する理由となるものではないことは改めて論ずるまでもない。被告人は本件につき修正申告をし、その結果納付しなければならなくなった多額の税についても履行のために努力を続け、八割方納付を済ませていることが認められ、また被告人にはさしたる前科もなく、非があることは率直に認め二度とこのような過ちを犯さない旨誓っているなど被告人に有利に考慮すべき事情が認められる。

これらの事情を考慮して被告会社、被告人に対しそれぞれ主文の刑を科し、被告人に対してはその刑の執行を猶予することにする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 小出錞一)

別紙(一) 修正損益計算書

自 昭和54年4月1日

至 昭和55年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

自 昭和55年4月1日

至 昭和56年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(三) 修正損益計算書

自 昭和56年4月1日

至 昭和57年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(四) 脱税額計算書

〈省略〉

脱税額計算書

〈省略〉

(税額の計算)

〈省略〉

別紙(五) 簿外預金等の受取利息に対応する利子税額の算定方法について

(1) 租税公課調査書に受取利息として計上されたところに従って正当税額を算定した。なお、算定にあたっては同調査書(2)確定方法欄を参考にした。

(定期積金の分については同調査書の算定のとおりと認める。)

(2) 定期預金につき

(イ) 内訳書1~7記載分 (注)

〈イ〉欄の金額×0.2 (小数点以下切捨)

(ロ) 内訳書8記載分

〈イ〉欄の金額×0.35 (小数点以下切捨)

(3) 定期積金(内訳書9記載分)につき

〈ホ〉欄の金額

(4) 各年度毎の合計金額の算定

(イ) 昭和55年3月期

上記(2)(イ)の分 88,501円 (注)

(2)(ロ)の分 19,281円

(3)の分 0円

合計 107,782円

(ロ) 昭和56年3月期

上記(2)(イ)の分 382,704円

(2)(ロ)の分 26,772円

(3)の分 0円

合計 409,476円

(ハ) 昭和57年3月期

上記(2)(イ)の分 1,025,629円 (注)

(2)(ロ)の分 9,321円

(3)の分 3,698円

合計 1,038,648円

(注)

定期預金中、内訳書1~7の分の利子税額の合計の算定は、次の簡便な方法により得ることができる。すなわち、内訳書1~7の各小計(小計〈1〉ないし〈7〉)の各〈イ〉欄の金額の合計に0.2(20%)を乗じて得た数値から、各預金に対する受取利息額の10円未満の端数(一位の数)に0.2(20%)を乗じて得た数の各小数点以下の部分のみを加算して得た数値を差し引くことにより得られる(各受取利息額に10円未満の端数がある時は、利子税額が円未満切捨てとなるので、その切捨分を差し引くことによって正しい数値を得る)。

昭和55年3月期について

内訳書1~7の各小計(〈1〉~〈7〉)の昭和55年3月期の〈イ〉欄の金額の合計額は442,520円となるので、これに0.2を乗じて88,504円となる。

各利息額につき10円未満の端数のあるものは内訳書1のうちNo.1~No.7の各預金のみであるから、その端数1、3、4、2、5、7、8に各0.2を乗ずると0.2、0.6のみであるから、その端数1、3、4、2、5、7、8に各0.2を乗ずると0.2、0.6、0.8、0.4、1.0、1.4、1.6となるのでその小数点以下の部分(0.2、0.6、0.8、0.4、0.0、0.4、0.6)を加算すると3.0となる。よって利子税額合計は88,504-3.0=88,501(円)となる。

昭和56年3月期について

〈1〉~〈7〉の小計欄〈イ〉の合計=1,913,570

その20%の金額=382,714

端数処理分合計=10.0

利子税額合計=382,714-10.0

=382,704(円)

昭和57年3月期について

〈1〉~〈7〉の小計欄〈イ〉の合計=5,128,176

その20%の金額=1,025,635.2

端数処理分合計=6.2

利子税額合計=1,025,635.2-6.2

=1,025,629(円)

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